転んで歯を打ってしまい、歯が歯ぐきにめり込んでしまいました…。
【49歳】自転車で転倒
『 前歯をぶつけてしまったら 』
歯をぶつけてしまい、歯が抜け落ちてしまった(脱臼:だっきゅう)場合 抜け落ちた歯を探してください。歯が欠けてしまった場合であっても 欠けた『かけら』を探してください。欠片が天然の歯質か 詰め物か 差し歯かかよくわからない場合も、欠けていないかを確認して可能な限りすべて集めてお持ちになって下さい。一部でも欠けた歯質がある場合は、状態が良ければそのまま歯科用接着剤で欠けた『かけら』をつけることができる場合もあります。ですから、折れた歯の『かけら』は絶対に捨てないでください。そしてその『かけら』はしっかりとラップやガーゼなどに包み、できれば水などに浸けて(歯の根が抜けた場合は牛乳に浸けて)乾燥しない状態で出来るだけ急いで歯科医院にお持ち下さい。
>>関連ページ:Q&A「転んで歯をぶつけると どのような障害 」
『かけら』がみつからなくても、足りない部分は歯と同じ色の樹脂(コンポジットレジン)などで治すことができますので、ご安心下さい。(ただし、欠けた部分が大きすぎたり 欠け方によっては、差し歯(冠を被せる処置)になることもあります。)
>>関連ページ:Q&A「コンポジットレジン充填」
すぐに来院してください
歯をぶつけてしまった場合、歯の位置がずれてしまったり 歯が欠けたりしたまま放置すると、ずれた位置で歯が固まってしまったり 神経が炎症をおこし痛みが出たり 歯の根の先に膿みの袋を作ったりすることがあります。歯に大きなダメージが無いようにみえても、歯にひび割れを生じたり 歯の神経に影響を生じることもあります。大切なことは、歯をぶつけてしまったら、問題なさそうでも時間をおかず 早めに歯科医院を受診しましょう。
◆診断 【 陥 入「歯が歯ぐきにめり込んだ」】
力のかかる方向により、ぶつけた歯が 骨の中にめり込んでいる状態です。歯の周りの骨が折れている場合もあります。見た目には歯が短くなったように見えます。重症の場合には脱落したように見えることもあります。歯の外傷の中では かなり重症のものですが 状態がよければ再度、元の位置に戻せる場合もありますので出来るだけ早く処置をすることが重要です。
◆その場での対応
① 歯や歯肉が砂などで汚れていれば、水などで軽くうがいをさせます。
② 歯肉や唇から出血があれば、きれいなガーゼ(ティッシュ)等を噛ませて 押さえて止血させます。
③ 歯のかけらをよく探します(破片は乾燥させないことが重要です)
◆陥 入「歯が歯ぐきにめり込んだ」の治療法
受傷歯が歯根完成した永久歯の場合、受傷した歯を正しい位置に戻し、ダメージを受けた周囲の骨の治りを待つために 両隣の歯と固定します(6週間程度)。受傷した歯の神経・血管は 切断されていることが考えられるため、固定した後日 神経の処置を行う必要があります。子供で永久歯の歯根が完成していない場合は、神経の治癒力を期待して 経過観察します。神経に影響(弱ってくる、死んでしまう)が現れたら根管治療を行ないます。
受傷により乳歯の位置がずれたり めり込むことで、乳歯の下で育っている永久歯に影響が出ることもあります。永久歯の生える方向や、歯の形・色などに影響が出る可能性があるので、永久歯への生え替わりまで定期的にチェック(エックス線検査を含めて)を受けることが望まれます。
◆陥 入「歯が歯ぐきにめり込んだ」の予 後
受傷により 歯の位置が大きくずれてしまうと神経 血管の断裂が起こり、歯の神経に影響が出る可能性があります。この場合、受傷時の歯根の完成度合が予後を決定する重要な要素になると考えられる。根尖が完成した成人永久歯の場合、歯髄壊死がほぼ確実に起こってしまいます。また、歯根膜に強いダメージを受けることにより、歯根吸収や骨癒着を起こす危険もあり、定期的にチェック(エックス線検査を含めて)を受けることが望まれます。