歯根分割抜去法(分割抜歯)は、完全に歯全体を抜いてしまう「抜歯」と比べると 治療は複雑となり若干の専門的技術が必要になりますが、健康保険でも認められている 広く行われている治療方法です。お口の機能を維持を 考えた場合、重要な選択肢の一つになります。治療の難易度は、治療をおこなう歯の抜歯が必要になる原因と状況により 変わってきます。
◆治療の適応症 こんな時にはまだ望みが……
多根歯の2~3本ある歯根のうち 根に限局した治療困難な病巣や病変が存在している場合や、原因が枝分かれの部分のみに限定している場合において治療が可能です。
◎ 根管治療の改善が1根だけ見られない場合
2本から3本の根に枝分かれしている大臼歯の根の先に膿が溜まるなどのして、治療を行なったのにもかかわらず1本の根だけ改善が見られない場合、
◎ 歯周病が1根だけに進行した場合
歯周病が根の先端まで進んでしまった場合、抜歯せざるをえません。. 2本から3本の根に枝分かれしている大臼歯の特定の根だけ著しく悪化して、改善が望めない場合、
◎ 歯の根が1根だけ割れた場合
歯や根が縦に裂けるように割れてしまうと、歯を抜かなければなりません。前歯は根が裂けてしまうと抜歯ですが、奥歯は裂け目によっては、割れた根だけを取り他を残すことが出来る場合もあります。
◎ 根の分岐部に病変
大臼歯の根が分岐している場所(根分岐部)に虫歯などで穴が開いてしまったり、割れた あるいは歯周病 感染根管などの病気が及びんでしまった場合
◎ 虫歯が1根だけに進行した場合
虫歯が著しく進行して、改善が望めない場合、虫歯の状態によっては枝分かれの部分で、切断して1根だけ取り除くことで他の根を残すことができる可能性があります。
◆ 注意
◎ 残すほうの歯根が良い状態であることが必要
下顎の大臼歯の根は2本であるため、2根とも状態が悪ければ 歯全体を抜歯しなければなりません。上顎の根は3本ですが、2根に問題があれば、残り1根が使用可能でも、噛む力などに耐えられないため、丸ごと抜歯するのが一般的です。(上顎大臼歯の根を2本抜いて残りの1本の根を利用して被せることは保険治療で認められません)
◎ 治療後はケアが大切
歯根分割抜去法(分割抜歯)後にはブリッジなどの補綴処置が必要になる場合がほとんどであり、しかも分割した場所は汚れやすく 歯磨き困難になってしまうことが多く、日々の歯磨きや定期的な歯科医院でのケアが必要になります。
◎ 残念ながら・・・
歯根分割抜去法(分割抜歯)を行った歯の予後は一般的にそれほど良くありませんので、歯根分割抜去法(分割抜歯)はあくまでも抜歯を先延ばしにするための「延命処置」と思っておいたほうが良いかもしれません。
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