皮膚に汗腺があって 汗が出てくるように、唇や舌、頬の粘膜の下には 唾液を出す たくさんの小唾液腺(しょうだえきせん)があります。米粒くらいの大きさで、口のなかの粘膜を いつも湿らせておくという役目があります。この小唾液腺からの分泌がうまく行われずに、周囲の組織中に唾液がたまって半丘状にプクっと膨れる場合があります。これを「粘液のう胞」といいます。
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◆ 原因 成り立ち 意外に不明な部分も多いのですが、原因としては、炎症や 粘膜を噛んでしまったり、下口唇を噛むなどの悪い習慣、歯列不正などにより歯の先端が当たることを繰り返しているうちに小唾液腺の出口である導管(どうかん)が傷ついて、小唾液腺から分泌される粘液の流出障害によって生じると考えられています。
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◆ 好発年齢、好発部位 年齢的には幼児、小児の低年齢層から成人までほぼ均等して多くみられ、50歳以後の発症は少ないようです。性差はありません。 ・ 下唇、舌、頬粘膜、上あごなど 小唾液腺のあるところであれば、いずれの部位でも生じうる可能性があります。特に下唇に最も多く生じます。舌尖部下面にも比較的よく好発するが、これは前舌腺に関連したもので、Blandin‐Nuhn嚢胞ともよばれています。 ・ 粘膜と同程度の柔らかさです。大きさは直径5~15mmの丸くて軟らかい腫瘤(しゅりゅう:こぶ)で、5mm前後が大多数です。のう胞のなかには唾液がたまっており、淡黄色の澄んだ 粘り気のある液体です。表在性のものは内容液が透視でき、大きくなると青紫色になり、血管も透けて見えるようになります。深在性の場合には正常な粘膜で被覆されていることもあります。また咬んだりして破裂を繰り返したものは、瘢痕により 徐々に粘膜表面が硬く白っぽくなります。 ・ 痛みなどの自覚症状は感じません。何となくはれている感じがするだけです。何かの拍子に のう胞部分の粘膜が傷つくと 簡単に破れて、粘稠な粘液が流れ出すと、一旦しぼんで小さくなりますが。しかし、多くの場合 数日で再び大きくなってきます。傷ついた後はしばらく痛む場合もあります。
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◆ 治療の方法 自然に治ることもあるため、「粘液のう胞」を生じたばかりであれば 暫く経過をみるのも良いのですが、通常、自然治癒は望めないことが多いので、治療が必要になります。切開などで内容物を出しただけでは 一時的に小さくなっても再発するため、のう胞だけでなく原因になった小唾液腺も摘出します。術後は、多少腫れます。予後は、取り残しをすると再発することがありますが、悪性化することはありません。また再発を予防する為に、悪い習癖(咬唇癖、吸唇癖)などがあればその改善や、のう胞部に接触する歯や、かぶせ物の鋭い角(かど)があれば除去して再発防止することも大切です。
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【 3057 】 20歳男性_下口唇 (粘液のう胞の除去)
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【 4416 】 2歳 女児_下口唇 (粘液のう胞の除去)
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【 4522】 13歳 女性_下口唇 (粘液のう胞の除去)
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【 4041 】 12歳 女性:左側口腔底 (経過観察 自然消失)
【 2919 】 12歳 男性_下口唇 (経過観察 自然消失)
【 4377 】 43歳 女性_右側頬粘膜 (経過観察中)
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【 4325 】 4歳男児_下口唇 (経過観察中)
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