◆なぜ矯正治療は長期間かかるの?
歯に弱い力を継続的な力を加え続けると、歯を動かすことができます。これは、人の骨の「骨代謝」の働きによるものです。歯列矯正は、この「骨代謝」を利用して、歯を動かしています。矯正装置を使用して 適切な力を歯に加えることにより歯を動かして歯並びを改善しているのです。歯が動くスピードは1ヶ月に1ミリ程度です。急いでいるからといって、強い力を加えても、歯が早く動くわけではありません。むしろ、力をかけすぎると、歯根や周囲の骨に大きなダメージを与えてしまいます。こういったことからも、矯正治療には時間がかかってしまうのです。
◆歯を安全に動かすのにかかる時間(矯正の治療期間)
歯並びの状態や矯正を始める年齢によってさまざまです。一般的な永久歯の全顎矯正治療の場合で、歯や周囲の組織に負担をかけずに 患者様の体が持つ自然のペースで治療を行ない、上下全体の歯並びがキレイになって、良い咬み合わせになるまで、約2年~3年くらいの期間がかかります
◆歯並びが安定するまでの時間(保定について)
矯正治療によって歯並びが整っても、動かした歯や、周囲の組織は、まだ安定した状態ではありません。放っておくと、もとの悪い歯並びの位置に戻ろうとする「後戻り」がおこってしまいます。そのため、歯を動かして理想的なかみ合わせになった後は、歯並びが後戻りしないように、とめておく装置(保定装置:リテーナー)を使う必要があります。歯並びが安定するまで1年~2年程使用して様子を見ます。
小児矯正には、第一期治療と第二期治療があり、患者さんの顎の成長や歯並びの状態に応じた治療を適切な時期におこなっていく為、患者さんによって治療方法が変わってきます。このため、治療計画によって治療期間は変わってきます。
第一期治療
乳歯がある時期から始める治療は、成長期に起こる様々な悪循環を排除または改善することを第一目標としています。乳歯と永久歯が混在している時期に、永久歯が生えやすくなるように顎の成長や、顎の骨の成長を適切に導いてバランスをコントロールする治療を行います。歯並びの状態や生え換わりスピードにもよりますが、6~10歳くらいに治療を開始して、治療期間は10ヵ月~1年半が目安です。
第二期治療
永久歯が生えそろった後に、ブラケットやワイヤーを使って歯並びやかみ合わせを改善する全体的な矯正治療を行ないます。
このようにステージを分けて治療する場合、成長の期間を通じてチェックしてゆく必要がある為、トータルの通院期間は長くなってしまいます。
通院の間隔は歯を積極的に動かしている時期で1ヶ月に1回程度です。これは、一度の矯正装置の調整で加えられた力に対して、歯動くサイクルが3~4週になるためです。(取り外し式の矯正装置を使用している場合など、効果を確認する為に2週間に一度チェックさせていただく場合もあります。)治療の初期や新しい装置を使用する時には、月に数回来院して頂くこともあります。
装置を外した後の「保定期間中」の経過や歯のはえかわりを観察する「経過観察中」は3ヶ月~半年おきの通院となります。
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