歯周病は1 度悪くなってしまうと、簡単には治すことはできません。
治療していくには時間もかかりますし、重症の歯周病の場合は、何をしても治療の甲斐なく歯が抜けてしまうこともあります。歯周病は「歯を支えている骨(歯槽骨)が溶ける病気」ですが、この一度溶けてしまった歯槽骨を元通りにすることは、現在の歯科医療ではほぼ不可能なのです!失われた骨の回復を期待して「骨移植」「骨再生」なども行われてはいますが、全ての症例で十分な結果を得ることはまだ難しいという段階ですし、実際、「歯がグラグラしてきたから何とかして!」と重症の歯周病の状態で歯科医院に来られても、もう手遅れで抜歯するしか選択肢がないということが、本当によくあるのです。
歯周病に関して最も重要なことは、
「歯周病にならないように予防をする」こと…
ということを、ぜひ知っておいて下さい。
では残念ながら歯周病になってしまった場合はどのような治療を行っていくのでしょうか?
もちろん、歯周病の症状を悪化させている原因は1 人1 人異なりますので、歯周病を治療していく前に検査を行い、1 人1 人に適したメニューで治療を行っていく事となります。
● プラークコントロール
歯周病予防、治療共に基本となるのが『プラークコントロール』です。
どうしてプラークコントロールが基本なのかというと、プラーク(歯垢)はただの食べカスではなく、細菌の塊だからです!
この細菌が産生する「酸」や「毒素」が、虫歯や歯周病の主な原因であるため、プラークコントロールをしっかりと行って細菌の数を減らせば、虫歯や歯周病を予防・改善させることができるという訳です。
つまり、プラークコントロールとは歯周病の原因である『プラーク(歯垢)=歯周病菌』の増殖を抑えることに重点を置いた予防、治療法で、正しい歯磨きのやり方を練習して、お口の中の状態によっては、歯間ブラシ、デンタルフロスなどの補助的清掃用具なども併用してプラークコントロールをする事が歯周病予防、治療の基本なのです!
● スケーリング&ルートプレーニング
歯周病の主な原因は『歯垢(プラーク)』です。プラークコントロールを行い、歯垢(プラーク)は毎日の歯磨き等で取り除くのですが、実際には歯磨き方法の誤りなどで磨き残しをすることが多く、磨き残した歯垢(プラーク)は時間の経過とともに取り除くことができない『歯石』になってしまいます。歯石の表面はザラザラして歯周病菌の格好のすみ家となるため、早めに取り除かなければ歯周病が悪化してしまいます。
また歯周病にかかると、深くなった歯周ポケットに溜まった歯垢(プラーク)、歯石は歯磨きでは取り除く事が難しくなるため、これまた歯周病の症状が悪化してしまいます。
そこでこれらの『歯石・歯垢(プラーク)』を歯科医院で専門クリーニングしてもらい、再び付きにくくしてもらう治療法が『スケーリング&ルートプレーニング』です。歯磨きでは取り除けない歯石はもちろん、取り除けていない歯垢(プラーク)を歯科医院で専門クリーニングすることによって炎症が収まっていき、歯周ポケットの深さも浅くなりますので歯周病の悪化を抑え、症状の改善が期待できるのです。
しかし歯垢(プラーク)は食事をすれば歯の周りに付いてきますので、スケーリング&ルートプレーニングをした後も、毎日の歯磨き等で取り除いていかなければ再び歯石となってしまいます。歯周病治療は歯科医院にまかせっきりにするのではなく、自分でも積極的に治療に参加することがとても大切なのです!
普通の人で3~6 ヶ月の間隔でチェックしてスケーリング&ルートプレーニングするのがよいでしょう。
(ただし、お口の中の状態によりスケーリングの間隔は変わります)
● 歯周外科手術(フラップ手術)
中度、または重度歯周病などの進行してしまった歯周病の場合、きちんとしたプラークコントロールやスケーリング・ルートプレーニングを行っても症状が改善するのが困難です。そのような場合には『歯周外科手術』(歯肉剥離掻爬術)が行われます。歯周外科手術(歯肉剥離掻爬術)とはフラップ手術とも呼ばれ、歯周ポケットが深いために完全に除去することできない『歯石/歯垢(プラーク)』を、歯周ポケット自体を切除した後、歯肉を歯槽骨から剥がし、徹底的にクリーニングし、『歯石/歯垢(プラーク)を除去した後に歯肉を元の位置に戻して縫合する手術法です。
● 歯周組織再生療法
歯周病により溶けて失ってしまった骨を、再生・回復させることを目的として行います。
代表的な歯周組織再生療法には、次のようなものがあります。
*骨移植 (自家骨移植、他家骨移植、人工骨移植があります)
*GTR 法 (GTR 膜という膜を使って歯周組織の再生を図る治療、手術法です)
*エムドゲイン (たんぱく質の一種を塗って歯周組織の再生を図る治療、手術法です)
歯周組織再生療法は歯肉を切って骨を露出させる必要があるので、ほとんどの場合、歯周外科治療と同時に行います。
治療が成功するかどうかはどの治療方法を用いて治療を行ったのかということよりも、スケーリング・ルートプレーニングによって感染物質が徹底的に除去できているかどうかや、毎日のプラークコントロールがしっかりとできているかどうかなどがポイントとなります。
● 歯の分割治療・手術
臼歯(奥歯)の根元は2 本、または3 本になっている事が多いのですが、根の股に歯周病が及んでしまった場合(分岐部病変)、このままの状態だと根元の間に溜まった『歯石/歯垢(プラーク)』を除去する事が困難なため、臼歯(奥歯)を2 分割する事によって溜まった『歯石/歯垢(プラーク)』を除去し、『歯石/歯垢(プラーク)』を除去した後に被せ物をする治療、手術が行われます。
● 詰め物・被せ物の修正治療
詰め物、被せ物の不適合があると、その段差に歯垢(プラーク)が付きやすく、歯磨きで取り除く事が難しいため、詰め物、被せ物の適合がよいのか?をチェックし、これらの適合が悪い場合は修正する治療が行われます。
詰め物、被せ物の適合を良くするだけで歯垢(プラーク)が付きにくくなり、また付いた歯垢(プラーク)を取り除きやすくなるため、歯周病の進行を抑え、症状の改善が期待できます。
● 薬(抗生物質)による歯周病治療
歯周病は『歯垢(プラーク)=歯周病菌=細菌の塊』に感染する病気であるため、薬(抗生物質)を服用したり、歯垢(プラーク)が溜まっている歯周ポケット内に直接注入して、薬(抗生物質)の効果で増殖した歯周病菌を減少させていく治療を併用してに行われることもあります。
● 歯ぎしり治療
歯ぎしりをすると、歯だけでなく歯周病で炎症を起こしている歯ぐき(歯肉)に強い力が加わる為より炎症が激しくなり、さらに支えの骨(歯槽骨)へ強い力が加わる事によって歯槽骨が破壊され、歯を失う大きな原因となってしまいます。
歯ぎしりが歯周病の悪化を早めて、歯を失う原因となっているのであれば、歯ぎしりをやめればよいのですが、歯ぎしりは寝ている間に無意識のうちにしている為、いくら歯ぎしりをやめたいと思っても簡単にやめることができず、そもそも自分が歯ぎしりをしている事に気付いていない方がほとんどなのが現実です。
ではどのようにして歯ぎしりを予防、治療するのかというと、まず、歯ぎしりはストレスを感じているときや疲れが溜まっているときにする事が多いので、難しいとは思いますがストレスを解消し、疲れている時はしっかり休む事が非常に大切になります。
それでも歯ぎしりが解消されないときは『マウスピース』などの器具を使用して物理的に歯ぎしりから保護する治療が行われます。
● 噛み合せの治療
噛み合せのバランスが悪かったりして一部の歯に過度な負担がかかっている場合、その歯の支えの骨(歯槽骨)が溶けて(破壊され)、歯を失う原因となりますので、噛みあわせを調整してバランスを整える治療を行ないます。
● 生活習慣、食生活の改善
歯周病は細菌による感染症です。病気や、睡眠不足、ストレスを感じているときなど抵抗力が落ちているときは『細菌=歯周病菌』に感染しやすくなりますので、十分な睡眠、適度な運動、ストレス解消することは歯周病を治療していくうえでも欠かせません!
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