一般的に、お口の中には上下で28本の歯があります。歯周病になっても28本がすべて同じように歯周病が進行している事はありません。同一の人の口の中であっても、残せないぐらいに歯周病が進行した状態の歯もあれば、初期または中期の治療で残せる状態の歯があったりもします。ですから、お口の状態を知るために1本づつ歯周病の進行具合を検査する必要があります。そして、残っている歯の1本づつ歯周病の診断がなされます。また、1本の歯の中でも頬(唇)側、舌(裏)側、歯間部でも歯周病の進行具合が違ったりもします。
ですから、歯周病の治療を開始する前に、どの場所にどれぐらい歯周病が進んでいるのかを正確に調べて、治療計画を立てる必要があります。
では実際どのような検査で診断するのでしょうか。
実際、歯周病の状態を診断する為に多くの検査項目があります。
1) 歯周ポケットの深さ
歯のまわりの歯と歯肉の間の溝の深さを測り、歯周ポケットの状態を検査します。
一般的には、スクリーニング的に歯周病の進行具合を調べる簡易的な歯周検査(歯周基本検査)をおこなう事が多いのですが、より詳細に歯周病の状態を知る為には、より詳しく検査をする必要があります(歯周精密検査)。
歯周精密検査では、歯周プローブという目盛りの付いている探針を使用して頬(唇)側、舌(裏)側の3ヶ所(近・中央・遠)計6ヶ所を立体的に計測します。
下の奥歯(大臼歯)が2つの根、上の奥歯(大臼歯)が3つの根(患者さまにより1~4本と異なります)があり、根と根の間(根分岐部)の状態、などの歯周病の進行具合も立体的に把握しています。歯周ポケットの深さ、形態、炎症の状態、ポケット内の歯石の付き具合なども同時に調べています。
<健康な歯肉の溝>は 1~3mmです
<歯肉炎の歯周ポケット>は歯肉が腫れて深くなります
<歯周炎の歯周ポケット>は歯槽骨(支えの骨)が喪失を伴い、深くなります
※実際は、他の 炎症や歯槽骨の喪失度などの検査結果を加味して診断します
2) 検査時の歯周ポケットからの出血
歯周プローブという目盛りの付いている探針を使用して、ポケットの深さをはかるときに、同時に出血するかどうかを調べます。出血がある部位は歯周病原因の細菌感染による炎症があります。歯周ポケットの深さだけでは、現在歯周病が進行している最中なのか過去のある時期に進行したのかを判別することはできません。現在の進行状況を表す最もよい指標は「ポケット測定時の歯肉出血」の有無なのです。
<出血しない>歯肉に炎症はおきていない(健康)
<出血する>歯肉に炎症が起きている
3) 歯の動揺度(揺れ)をチェック
ピンセットで歯のグラグラ度を調べます。歯を支える骨が無くなってくると、歯の動揺(揺れ)が大きくなります。
<0度>普通
<1度>前後にわずかに動く
<2度>前後左右に動く
<3度>前後左右上下に動く
4) 歯肉をカラー写真で記録
口の中の状態を確認します。歯肉の性状(色や形など)から、炎症の状態をみます。カラー写真で記録することにより、治療前後 また、定期健診時に比較するのに大変役に立ちます。
<健康>歯肉の色がピンク色で、引き締まっている
<歯周病>歯肉の色が赤く、腫れている
5) エックス線写真撮影
エックス線写真で歯の周りの支え(歯槽骨)の状態が視覚的に確認することができます。歯周病が、どの場所にどのくらい進んでいるかをみるのに役立ちます。
6) お口のヨゴレぐあいをチェック
歯周病の原因であるプラークが、歯磨きでしっかりとれているかどうかをチェックします。プラークは白い汚れで歯と同じ色で判別がむつかしい為、プラーク染出し液で染出しをして調べたりもします。汚れ具合を記録して歯磨き技術の向上に努めます
<歯磨きの目標>汚れ具合20%以下まで歯磨き技術を向上しましょう。
7) その他
咬合性外傷、根分岐部病変、2次カリエス、根面カリエス、不良充填物、不良補綴物、エナメル滴等があればこれらも記録します。
歯周病の治療の前にはこれらの歯周組織検査を実施し、歯周病の状態や悪化させる要因を的確に把握する必要があります。また、歯石除去やスケーリング・ルートプレーニング、歯周外科手術と治療のステップを重ねる度に、また、定期健診時に状態を把握する為に、毎回、歯周組織検査を実施して状態を評価しその後の治療方針を検討する必要があります。
- 診療時間
- 月・金
9:30~19:00
火・水・土
9:00~18:00 - 休診日
- 日曜日・祝日
木(祝日のある週のみ診療) - 電話番号
- 054-209-1133
- 住所
- 静岡市葵区千代田1-3-7
- 駐車場
- 6台