◆エナメル質形成不全 とは、
歯の表面を構成するエナメル質が、さまざまな原因で 先天的に障害をうけて、綺麗に成長せずに 歯にくぼんだ部分があったり、エナメル質の下の象牙質が露出して 黄色を呈していたりする状態の事です。一般に肉眼的に明らかなエナメル質形成不全歯は、永久歯では10%程度、乳歯ではそれより少ないといわれているものの、決して珍しいものではありません。
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障害が軽い場合には、エナメル質に限局性の白斑や着色があるだけですが、障害が強くなると、エナメル質の表面に環状の凹窩、溝、不規則な欠損を生じ、エナメル質の大部分が形成されないこともあります。これらの変化の現れ方は 障害を受けた歯の発育時期、障害の種類、強さなどによって異なり、エナメル質の発育の初期であればあるほど、また、障害が強いほど エナメル質の変化が著明に現れるといわれています。
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歯が出来上がる時点で何らかの影響を受けたのが原因ですから、1本のみの乳歯にみられるエナメル質形成不全の時は、その後生えてくる永久歯が同じようにエナメル質形成不全になることはありません。
◆エナメル質形成不全 の原因
*全身的な要因
このエナメル質形成不全は、歯が骨の中で作られるエナメル質の形成時期 または発育時期に何らかの全身的障害(例えば、病気、ビタミン不足、栄養障害、ホルモン異常やフッ素等の無機物の影響、さらに遺伝など)で歯の成長が一時 的に阻害されることによりエナメル質形成不全が起こります。エナメル質形成不全が 全身的な原因による時は、1本だけではなく 複数の歯に症状がでてくることが多いです。このような 複数の乳歯に エナメル質形成不全がみられる場合は、これらの乳歯と 同時期に造られる一部の永久歯(前歯や6歳臼歯)にも 同じエナメル質形成不全が みられる事があります。
*局所的な要因
乳歯の虫歯がひどかった場合や、乳歯が外傷をうけたりした場合、のちに生え変わる永久歯に影響が出て エナメル質形成不全がみられる事があります。乳歯の虫歯や外傷は、乳歯だからといって軽視せずに適切な対処を受けることが大切です。
◆エナメル質形成不全 の治療
エナメル質形成不全歯の状態が、エナメル質に限局性の白斑や着色があるだけの軽度のものや 穴やくぼみがなければ、まずはブラッシングの励行と定期的なフッ素塗布でむし歯を予防することが大切です。しかし、エナメル質形成不全歯は外観(見た目) が悪く、ムシ歯にかかりやすいので、必要に応じて、歯冠修復処置(虫歯と同様の処置)がおこなわれます。
◆ エナメル質形成不全の症例
【 症例 5010 】 2歳男児:上下顎左右側乳臼歯(ケアに注意、経過観察)
【 症例 3068 】 2歳男児:乳犬歯(レジン充填・永久歯には問題なし)
【 症例 503 】 男児:上顎左側第一大臼歯(フッ素塗布で経過観察)
【 症例 3220 】 女児:下側中切歯(光重合レジン充填)
治療する年齢や、エナメル質形成不全の程度、ムシ歯にかかってしまっているかにも因りますので、処置が必要かどうか、一度かかりつけの歯医者さんでご相談されることをお勧めいたします。
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