歯科検診で「癒合歯」と言われました。詳しく教えてください

◆「癒合歯」って、どんなもの?

2本の隣り合った歯が、歯の形成される時期に結合し、1本になったものを 癒合歯(ゆごうし)と言います。乳歯にも 永久歯にも みられます。歯の形としては、くっついた境目がはっきりしているもの、境目がなく普通の歯より少し幅広いだけのもの などがあり、歯の結合状態によって 癒着歯・融合歯・双生歯と 呼ばれたりします。癒合歯を1本と数えれば、通常より歯の数が 少なくなります。

 
  5歳女児:左右とも中切歯と側切歯の癒合歯

 

ほとんどが、真ん中から数えて3本目までの前歯の部分に あらわれます。上の歯にも 下の歯にもみられ、右側だけ、左側だけ、両側にある場合があります。乳歯の癒合歯は、下の前歯の2番目と3番目(乳側切歯:Bと乳側犬歯:C)が癒合したものが 一番多くみられ、次に、下の前歯の1番目(乳中切歯:A)と2番目(乳側切歯:B)の癒合、上の前歯の1番目(乳中切歯:A)と2番目(乳側切歯:B)の癒合の順で 発生します。

 上顎ABの癒合歯

 

大人の歯(永久歯)の癒合は、乳歯癒合の1/10以下で0.05~0.3%の発生頻度と言われています。

  
42歳女性 左下側切歯と犬歯の癒合歯

 

◆ 癒合歯の原因

乳歯癒合歯の発生原因として、母胎の全身状態の異常、疾患、薬剤との関連などが示唆されています。しかし、母胎の全身状態が良好で 正常に出産した健常児にも 癒合歯はみられる為、癒合歯の発生原因は 現在でも はっきりと解明されてはいません。胎児期(お母さんのお腹の中にいる時期)の 乳歯の芽が作られる時に くっ付いた状態になって、癒合歯になってしまうという説が有力視されています。

保護者の方から 「癒合歯の発生は母親のせい?」 と質問をうけることがあります。確かに異常な歯ですが、癒合歯は 偶然の産物と考えて下さい。癒合歯が出来てしまった事を悩まずに、その後の口腔内のケアを考えてあげるようにしましょう

◆ 処置は必要ですか?

癒合歯を分離することは おこないません。癒合歯そのものに対する処置の必要はありません。
ただ、癒合歯で問題となるのは、癒合している2本の乳歯が つながっている部分は 溝状に凹んでおり、境目の溝の部分が汚れやすく むし歯や歯肉炎に なりやすいことです。前述しましたが、癒合歯は 子供の歯の 特に下の前歯に発生することが多いので、保護者の方でも 発見しやすい場所にあります。しかし、とくに内側(舌に面している部分)は 溝が深く よごれ易く、なおかつ 外から見えにくいので、ぜひ 注意して 仕上げ磨きを しっかりして、むし歯予防に気をつけましょう。
また、癒合歯のむし歯予防には シーラントで境目を封鎖して予防する方法と、フッ素塗布による歯質強化が有効です。癒合歯は、歯の神経(歯髄)も 癒合し 複雑な形態であることが多く、虫歯により 歯の神経治療を行う必要が生じると 経過が悪くなる傾向がみられます。日々のケア(歯磨き)と、歯科医院での定期チェック・定期ケアで 予防を心がけるようにしましょう。


◆ 癒合歯の将来

乳歯と永久歯の数や幅が 合わないので、乳歯(癒合歯)の下にある 永久歯が生える時、癒合歯の歯根(歯の根の部分)が 正常に吸収されずに  歯の交換期になっても 抜けない場合が 多くあります。その為、乳歯(癒合歯)から永久歯への 生えかわりを うまくおこなう為に、歯科医院で定期診査を行ない、生えかわりの時期には タイミング良く癒合歯を抜いてもらう必要があります。


◆ 癒合歯と歯並び

「癒合歯」自体は何も心配することではありません。しかし、乳歯が癒合していると、生えかわりの永久歯が2歯分できずに1歯が 足りなくなることが多くなります。その結果、歯の数と顎の大きさのバランスにズレがでて、歯並びや噛み合わせが悪くなることがあります。 幸い、乳歯癒合歯の下から生えてくる 永久歯が不足せずに 正常に2本生えてきた場合であっても、永久歯の形に異常をきたす確率も高くなります。また、癒合歯で乳歯の幅が広い歯とはいえ、1本あったところに、2本の永久歯が生えようとしますから、生える隙間が足りなくなる場合が多く、永久歯の歯並びが重なったり曲がったりしがちです。

           
            乳歯の癒合歯と 2本の永久歯と生え変わり、重なりができてしまいました。

永久歯の生えてくる時期に違いがあり、乳歯の脱落する(抜け換わる時期)時期にも 違いがあるので、生え換わる永久歯が、正確な位置に 生えてくるようにするために  十分な配慮が必要となります。5~6歳になれば 「癒合歯」の下に後から生えてくる永久歯があるかどうか X線写真で永久歯の数や位置も 確認できるようになります。「癒合歯」を見つけたら、まずは 将来の歯ならび予測や 矯正についても 相談できる歯科医を早めに見つけて、癒合している歯の状況により、乳歯と永久歯の交換や 永久歯の歯並びや噛み合わせに十分対応できるようにしておくことをお勧めします。




◆ 癒合歯の症例

 永久歯の癒合歯
【 症例 2678 】 女性:左下側切歯(2)と犬歯(3)の癒合歯

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【 症例 4494 】 女性:下顎中切歯(1)と側切歯(2)の癒合歯 

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 【乳歯の癒合歯・生え変わり永久歯1本(先天欠損)】
【 症例 3257 】 女児:乳側切歯(B)と乳犬歯(C)の癒合歯 経過観察

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 【乳歯の癒合歯・生え変わり永久歯2本(先天欠損は無い)】
【 症例4102 】 女児:乳中切歯(B)と乳側切歯(B)の癒合歯 (矯正治療中)

 


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【 症例 3715 】 男児:乳中切歯(A)と乳側切歯(B)の癒合歯 (矯正) 

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【 症例 2734 】 女児 乳中切歯(A)と乳側切歯(B)の癒合歯 (観察)

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【 症例 2521 】 男児:乳中切歯(A)と乳側切歯の癒合歯 (放置)

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