【 4573 】 27歳男性:左上第一大臼歯の歯根破折(歯肉整形)

4573 静岡市葵区鷹匠 27歳男性
 ・左上第一大臼歯の歯根破折
 ・他院で治療途中の歯が食事中に割れた

 ・骨縁に及ぶ歯根破折
 ・歯肉切除により歯の保存をこころみる

 

 

 

 

 

【 27歳 】

     

初来院 :「歯が割れてしまった」 と来院されました。
他の歯医者さんで抜髄をした治療途中の左上の第一大臼歯が、食事中に割れてしまったそうです。「通院していた歯医者さんでは抜かなければいけないと言われたが、ほんとうにどうにもならないか」と、セカンドオピニオンを希望されて来院されました。


   
左上第一大臼歯の頬側の歯質が、歯茎の下にかけて割れて無くなっています。割れた断面は歯茎の中に埋まってしまい、レントゲン写真でも、歯がどのように割れているかは分かりません。割れてしまった「かけら」があれば、割れ方がはっきり分かるのですが、判断が困難な状態でした。いずれにしても、現状のままでは(通常の方法で)冠をかぶせることは困難なことをお伝えしました。


 


「できれば残してほしい。」と当医院での治療を希望されました。できる範囲で歯茎の下を精査したところ、イラストのように頬側の歯質が 歯槽骨の深さ近くで割れてしまっています。ここまで深く割れてしまっている場合は、クラウンレングスニングエクストルージョン、などの方法で 割れた部分を歯茎の上に出して治療する方法が必要ですが、大掛かりな治療は望まれませんでした。 今回の症状には適応ではない治療方法ではありましたが、比較的歯茎の下の浅い部分で割れた場合に行なう、「歯肉切除」を行なうことにしました。

>>関連ページ:Q&A歯の割れが歯茎下まで達している場合の治療方法


  
まず、根管治療をやり直しました。根管治療終了時のレントゲン写真です。


局所麻酔下で歯肉切除を行い、割れてしまった断面が見えるようにしました。処置後も痛みを感じることはなかったそうです。割れた位置が歯槽骨近くに及んでいたにもかかわらず、クラウンレングスニングエクストルージョン、などの方法を行っていないため、しばらくすると割れた断面は歯茎下に埋まってしまいます。ある程度傷の表面が治ったところで、早期に冠の型取りを行う必要があります。
 

 

【 冠の装着時 】

    
冠の装着後、1週間のお口の状態です。違和感なく食事もできると喜んでいただきました。



歯茎が下がっているのがわかります。歯を残すことだけにに主眼をおいた治療で、前後の歯や歯周組織に調和の取れているとは言い難い冠であるため、今後の経過観察が大切であることをお伝えして終了しました。

 

 

>>関連ページ:Q&A「エクストルージョンについて

>>関連ページ:Q&A「クラウンレングスニングについて

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