犬歯の後ろの歯に“つの”みたいなものを中心結節と言われました。大丈夫ですか?

◆「中心結節(ちゅうしんけっせつ)」とは、

歯の形態異常のひとつです。奥歯の噛む面の中心部に発達した円錐状、または短い棒状の小突起(異常咬頭)を生じます。この中心結節の中には歯髄腔(神経)が延びて入り込んでいることが多くみられます。中心結節があることは稀なものですが、小臼歯の中心結節は黄色人種に限定され、他の人種にはないそうです。

小臼歯、大臼歯に見られます。なお中心結節は下あごの第二小臼歯(永久前歯から数えて五番目の歯)に比較的多く、次いで下の第一小臼歯、そして上あごの第二小臼歯で、この3種類でほとんどをしめます。左右対称にみられることが多いので、人によっては上下の複数の小臼歯や、まれにさらに奥の大臼歯に出ることもあります。その出現度は1~4%、大臼歯においては0.08%と言われています。


左:10歳女児 右:17歳メンテナンス時 >>症例参照

 

 

◆ この中心結節がある方の注意点

この結節自体は特に悪いものではなく問題ないのですが、形態的に歯が生えてくると、咬合あるいは咀嚼によって上の歯と当たって、気づかないうちに折れてしまうことがあります。結節内に歯髄(神経)が入り込んでいることが多いため、露髄する(神経が出てしまう)こともあります。また、咬耗が進んで第二象牙質の形成が追いつかない場合にも露髄を生じてしまいます。露髄すると初期には接触痛(折れた場所を触ると痛み)を生じることがあります。露髄しても歯髄腔は開放されているので、食べカスが神経の中に入って急性発作を生じるほかには急性歯髄炎症状(ズキズキ痛む症状)が現れることは少なく、露髄は見過ごされやすいので注意が必要です。そのため中心結節が折れても気付かずにいると、神経が腐ってしまい膿があごの骨を溶かしてしまうこともあります。

 
 16歳女性 第一小臼歯に中心結節が折れて化膿 >>症例参照

これらの不快症状の発現時期は十代前半が大多数です。これは、中心結節のある小臼歯が生えてくる時期と一致しています。症状が出た場合には歯髄の処置が必要です。しっかり治療すれば治るので心配はいりませんが、高校生くらいまでは歯根が未完成で治療が難しいため、処置後も歯根の変化を定期的にみる必要があります。

 

 

 

◆ 中心結節の治療方法

可能であれば、神経を守りたいものです。そこで、中心結節を見つけたら、特に突起が細くて折れやすい場合などは、周囲を詰めものなどで補強して折れにくくします。咬み合わせたときに突起が直接ぶつからないように、歯を少し削り調整することもあります。局所麻酔も必要のない比較的簡単な処置です。歯は表面からエナメル質・象牙質・歯髄という三層構造になっていますが、年月の経過とともに象牙質と歯髄の間に第二象牙質と呼ばれる組織が形成されて中心結節内の神経が細くなってくる為、不快症状はほとんど防ぐことができます。ある程度成人された方は、もし中心結節があっても神経も細くなり、折れてしまっても大丈夫なことがほとんどなので特に何もせずそのままでかまいません。しかし、中心結節の破折による不快症状は成人の例も報告がありますので、大人でも中心結節を見つけた方は、かかりつけの歯医者さんに一度診てもらうとよいでしょう。

 ⇒  
右下小臼歯の中心結節周囲を補強 >>症例参照 

 

 

 

 

【症例】 女性:中心結節の破折 感染根管治療
   >>症例参照

 

【症例】 女児:生え変わった小臼歯の中心結節の補強
    >>症例参照

 

【症例】 男性:中心結節の破折 感染根管治療
    >>症例参照

 

【症例】 女性:矯正・中心結節 削合 経過観察
    >>症例参照

 

 

*** おかあさんたちにおねがい!***
4年生を過ぎても、お子さんのお口の中をマメに覗いてあげてください。こんな“つの”を見つけたら歯医者さんに必要に応じて補強してもらってください。上下の歯が咬み合う前に処置する事が大切なので、かかりつけの歯医者さんで定期的なチェックをお勧めいたします。
 

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