【 2320 】73歳男性:歯茎下で折れた 治療困難な歯を助ける(エクストルージョン)
2320 静岡市葵区沓谷 73歳 男性
* 右上中切歯の歯茎の下に及ぶ歯の割れの治療
* エクストルージョンにより抜かない治療
* メタルセラミッククラウンにより、審美の改善
* 下顎隆起の存在 経過観察
* 正中埋伏過剰歯の存在 経過観察
【60歳】
初来院時の状態です。歯のクリーニングを希望されて来院されました。
その時のレントゲン写真です。
下顎の左右の小臼歯の内側のふくらみは レントゲン写真では白っぽく写り、下顎隆起です。自覚症状はまったくなく、本人はお気づきになっていましたが、気にされていない様子でした。下顎隆起が存在することによって、やや歯の内側に汚れがたまりやすく、歯磨きが困難な状態です。現時点では、問題が起きていませんので、このまま経過観察をしてゆきます。
>> 下顎隆起について
レントゲン上で、中切歯の歯間から右上中切歯の歯根の先にかけて、骨の中に正中埋伏過剰歯が存在しています。埋伏過剰歯が存在していますが、歯並びに影響していません。このまま経過観察をしてゆきます。
>>正中埋伏過剰歯
【 72歳 】
72歳の定期健診時の状態です。
定期的にケアーを行っており、よい状態を保っています。
【 73歳 】
「歯が欠けてしまった」と来院されました。
右上の中切歯の歯冠が大きくかけています。歯の欠けは歯茎の下に及んでいます。釣りをしていた時に、歯を使ってつり糸を結んでいて欠けてしまったそうです。レントゲン上で、欠けが歯槽骨近くに及んでいるのが分かります。歯のかけらをお持ちいただきましたが、割れが歯茎の下に及んで歯茎が覆いかぶさって元の位置にかけらを戻すことが困難な状態でした。現状のままでは、治療が困難で抜歯が必要な状態でした。そこで、抜かずに治療するためにエクストルージョンを行うことになりました。
歯が欠けた断面に神経がでてしまっています。欠けてから1日以上経過してしまっているうえに、ズキズキした痛みもあったため、まず抜髄処置をおこないました。レントゲン写真は根管治療が終わったところです。
エクストルージョン開始時の状態です。歯の根にフックを取り付けて5ミリ程度 引っ張り上げるための装置を使用します。日常生活に支障が出ないように、仮歯を入れます。折れてしまった歯の歯茎の高さには大きな問題は無かったため、歯肉のラインの高さが変わらないようにエクストルージョンを行いました。
エクストルージョン終了時の状態です。割れた部分は歯茎の上まで出てきました。この位置でしばらく固定して安定させます。
最終的な冠が入りました。
歯肉のラインの高さが変わらないように エクストルージョンを行なったのですが、反対側の中切歯より歯茎の高さが少し高くなってしまいました。歯茎の高さをそろえる処置をお勧めしましたが、ご本人は 気にならないということで、現状のまま冠を被せました。ご本人は「きれいに歯が入った」ととても満足していただけました。
【 75歳 】
処置して一年後の状態です。
割れてしまった右上の中切歯は、歯・歯周とのバランスのよい冠を装着することができて、清掃(歯磨き)しやすく 歯肉に炎症はまったくみられません。