転んで歯をぶつけると どのような障害がありますか?
顎や顔面周囲のケガの原因は、交通事故が原因の一番目にあります。次いで 階段などでの転倒や転落、 スポーツでの怪我が3番目にあがります。特に小さい子供は転倒しやすく、その際に反射的に手をつけないことが多いため、『転んで歯をぶつけた』というのは子供さんに大変多い事故です。ぶつけただけで痛みも訴えない場合から、歯が抜け落ちてしまう事故まで いろいろな程度があります。軽いと思っても外傷により歯の神経が根の先で切断され、死んでしまう場合もあります。そのような場合、受傷後 しばらくすると歯が黒ずんできたりします。永久歯の成長や生え変わりに影響が出ますので、軽い打撲だけ、と思っても後日問題が起きてくる場合も多いため注意が必要です。
◆歯の構造
私たちが、普段「歯」と呼んでいるところは、歯ぐき(歯肉)から出ている歯の部分(歯冠:しかん)と 歯ぐきの中にある部分(歯根:しこん)に分かれます。歯の中には、神経と呼ばれる「歯髄:しずい」があり その中には 血管や神経があります。歯の根の周りには、歯を支える骨(歯槽骨:しそうこつ)や 歯と骨の間のクッションとなる膜(歯根膜:しこんまく)があります。
◆外傷による症状
転んだりぶつかったりして、歯に強い力(衝撃)が加わると次のようなことが起こります。
- 歯にヒビが入った
- 歯が欠けた、折れた(歯の破折)
:歯をぶつけた衝撃で、歯が欠けたり、折れてしまった状態です。○ 歯髄に及ばない歯冠破折 :欠けた部分が歯の神経に達していない状態
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○ 歯髄に及んだ歯冠破折 :欠けた部分が歯の神経に達してしまっている状態
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○ 歯根破折 :歯の根の部分が折れてしまった状態
○ 歯の打撲(だぼく) :歯や口の外見上の異常は認めないが、痛みを訴える状態
○ 亜脱臼(あだっきゅう) :完全に歯が抜けないで、「揺れる」「位置がずれる」などの状態
- 歯が抜けてしまった。(脱落)
:歯が完全に抜けて落ちてしまった状態です。
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○ 完全脱臼(かんぜんだっきゅう) :歯が歯槽骨から完全に抜けて歯根膜が断裂した状態
- 歯が歯ぐきにめり込んだ(陥入)
:強い衝撃を受け、歯が歯ぐきの中にめりこんでいる状態
- 歯が変色してきた。
歯を打ってしばらく経ってから黒っぽく変色してくることがあります。
これは、歯の神経(歯髄)が死んでいる恐れがあり、さらに色が悪くなったり、根の周囲に病巣ができたりすることもあります。
転んで歯をぶつけたと言っても、このように 様々な症状があります。乳歯をぶつけた結果、永久歯に影響がでることもあります。(部分的に 生え変わりの永久歯の色が変わったり弱い歯が出来たりする・生え変わりの永久歯の根や頭の部分が 歪む・生え変わりの永久歯が出てきにくくなるなど)
子供を転ばせないというのは難しいことですので、歯をぶつけたなと心配に思ったら、歯医者さんに診てもらうのが良いでしょう。長期にわたり 注意深く観察を続けてあげることが重要だと思います。