乳歯のむし歯は永久歯にどんな影響がありますか?
◆ 乳歯は生え変わるから・・・は大間違い
痛みが出にくいのだったら、むし歯はそのままにしておいて、永久歯が生えてきたら頑張ればいいか……こんな風に考えがちですが、実はそんなにうまくいきません。
痛くないからといって、乳歯がむし歯になっても放置していると、永久歯に思わぬ影響でてきてしまうからです。
ではどのような影響があるのでしょうか?
乳歯の頃にむし歯が多いと、永久歯もむし歯が多くなりがち
乳歯のむし歯を放っておくと、お口の中で虫歯菌は増え続けます。乳歯と生え変わる永久歯は、むし歯菌の多い環境に生えてくることになってしまいます。むし歯の乳歯が一度に全て抜けて、それから永久歯が生えてくるのであれば問題がおきにくいかもしれません。しかし、実際の生え変わりは、むし歯だらけの乳歯がたくさんある中に、1本づつ永久歯が生えてくることになるのです。ただでさえ、生えてきたばかりの永久歯は、まだ未熟でむし歯になりやすいのです。むし歯菌がウヨウヨしている口の中では、このように弱い永久歯はいち早くダメージをうけてしまいます。
特に、歯の間はむし歯になりやすい場所です。乳歯の歯の間のむし歯をそのままにした場合、隣に生えてきた永久歯も一緒に虫歯になってしまう危険が高い為、乳歯が抜けた時に、歯医者さん永久歯のチェックをすると同時に、隣の乳歯のむし歯もチェックしてもらいましょう。よい環境で永久歯を迎えるために乳歯のむし歯は治しておく必要があります。
乳歯のむし歯が将来の歯並びを悪くする
乳歯には「永久歯が生えてくる場所を確保する」という大切な役割があります。乳歯が大きなむし歯で歯の形がくずれてしまったり、早い時期に失ってしまうと、空きスペースができます。 いずれここに生え変りの永久歯が生えてくるのですが、長期間スペースが空いていると、隣り合っている歯が寄ってきてしまいます。そうなると、永久歯が生えるスペースが足りなくなってしまい、永久歯が適切な方向に生えることができなくなり、歯並びが悪くなることがあります。もしも、乳歯を虫歯で早期に失ってしまったら、永久歯が生えてくる隙間を確保する為に、保隙装置でそのスペースを確保しておく必要があります。
その他にも、歯の痛みや歯が抜けてしまった為に片側噛みの癖がついてしまったりすると、左右の顎の発達のバランスが悪くなるなどの影響もあります。
ですから、そうならない為にもしっかりとした、予防処置、むし歯の処置、それから、歯並びが悪くなるような悪い癖、それから、あごの発達をうながすような、正しい食生活は、その後の永久歯の歯並びにも大きく影響してきますので、乳歯の歯並びは、乳歯のうちからきちっと、あごの成長と歯並びを作っていくのは、とても大事なことです。
乳歯のむし歯の影響で永久歯が曲がって生えることも
乳歯の虫歯を放置しすぎると、虫歯菌が乳歯の根まで感染をして根の先に膿がたまり、バイ菌の影響で、永久歯が曲がって生えてしまうことがあります。(歯胚の回避現象)
乳歯のむし歯を放置すると、永久歯の歯質に悪い影響(発育不全)
乳歯の虫歯がひどくなると、根っこにバイ菌が感染して歯の根の先などに膿がたまることがあります。そのような状態になると、根っこのバイ菌が、乳歯のすぐ下で発育中の永久歯に影響して発育不全(永久歯の表面のエナメル質を溶かしてしまう)を起こすことがあります。このような歯を、ターナー歯と呼びます。ターナー歯は、歯の表面が白斑や黄褐色斑になったり、わずかな凹みができるものから著しい障害が現れるものまでいろいろ変化が現れます。
いつか生え代わる乳歯とは言え、虫歯になってしまったら放置せず、きちんと治療を受けましょう。もちろん虫歯にしないように予防していくことがなによりです。定期的に検診を受け、毎日の歯みがきでお口の中を清潔に保つようにすることが大切です。そのことが、その後の一生の、大事な永久歯の虫歯になりやすさ、それから歯並びにも大きく影響してきます。