顎を成長させる為に、よく噛むにはどうすればいいの?
噛む機能は、生まれつき備わっているわけではありません。子供が学習することによって身に付いていきます。したがって、身体の成長、噛む能力に合わせて食べ物を与えることが大切です。加工食品やレトルト食品、インスタント食品などを食べる機会が多くなった現代では、味が濃く、柔らかい食事をしている子供が多くなっています。そのためゆっくりと噛みしめ味わいながら食事をすることが少なくなってしまっています。
健康な歯で食べ物をしっかり噛んで味わうことは、全身の健康維持にも大きな効果があります。子供が「よく噛んで食べる」ためにはどうすればよいか考えてみましょう。
(1)虫歯ゼロ
歯が痛い、また、歯が欠けているような状態ではしっかり噛もうとしても、噛むことができません。まず、歯科医院できちんと治して左右でバランスよく噛めるようにするひつようがあります。そして、一生自分の歯で噛めるにようにするために、虫歯になりにくい生活習慣を作ることが大切です。
(2)食べ方
◇ 「早食い」に注意
満腹中枢が十分に刺激され「満腹」と感じるまでには、食事を始めてから15分から20分の時間がかかります。「早食い」は、食欲にブレーキがかかる前にたくさん食べてしまい、知らぬ間に食べ過ぎてしまいがちになります。
特に、最近の子供たちは 就寝時間が遅いために寝坊をして食事時間がとれない、塾や部活で食事時間がとれないなどの理由で、朝食を抜いたり、「早食い」をするようになります。このような状態が続くと、空腹感や満腹感があやふやになってしまいます。健康のためにも食事の時間はゆっくりかける必要があります。
◇ 食べるリズムが大切
食べたいという欲求は唾液分泌を促し、消化を助けます。 おいしく食事を行うには、空腹感がとても大切になります。
しかし、最近では、コンビニや自動販売機、デパ地下、フードパークなど、子ども達の身近にはたくさんの飲み物、食べ物があふれており、子ども達はいつでも簡単に食べ物を口に出来る状況にあるため、規則正しく食物を摂るのが困難な状況です。また、食事の前にジュースや糖分を含んだものを与えていませんか?空腹時に糖分を摂取すると、血液中の血糖値が上昇、満腹中枢を刺激し食欲が減退、結果、楽に食べられる料理しか選ばなくなります。食事の2時間前にはおやつをすませ、適度な運動により空腹感をもって食事をするようにしましょう。基本は3度の食事でおやつを捕食として体内リズムを獲得することが必要です。
◇ おやつ
間食=おやつ=甘いもの=お菓子という方程式ができていたら、これは見直しです。間食は「主食で摂取する栄養を補うもの」です。たとえば、おにぎりのようなものでもいいのです。おにぎりはかたい食べ物ではありませんが、唾液と混ざらないと飲み込めず、そのためにあごを何度も動かします。これによりあごに適度な刺激が与えられ、適切な成長を促します。
(3)コミュニケーション
◇ 楽しく
家族と食事をすることは楽しいことである当たり前の食事の環境を作り出しましょう。食べ物を楽しくおいしく味わって食べることは、結果的によく噛んで唾液を分泌させ、さらに食欲が増す食事になります。楽しい話題は最善のおかずです。時々は箸を休めて、1日にあったことなどをお父さんお母さんが主導して、家族で会話を楽しみましょう。
(4)食事の時の環境
◇ 食事中の姿勢はとても大切
食卓のイスが、必ず子どもが食卓に座った状態で足がついているか確認して下さい。足がついていない場合は、足置きを用意しましょう。足がついていない状態ですと、噛む機能が低下します。また、体が不安定になり、猫背になります。猫背は頭でバランスをとろうとして、正しい位置でのかみ合わせを妨げ、悪い歯並びのもとになってしまいます。
また、机と体の距離はこぶし1個程度にしましょう。
◇ テレビを見ながらの食事は要注意
食卓で子供達の座る場所は決まっているでしょうから、テレビなどが左右に偏って置かれているといつも同じ方向に毎日顔を向けて噛むことになり、偏った噛み癖の原因となってしまいます。食事の時間はテレビを消して、家族とのコミュニケーションを楽しみましょう。
◇ 食卓の飲み物
最近の子ども達の特徴的な食事には、食卓に水やお茶などの飲み物を置いて、食べ物をしっかり噛まずに「流し食べ」をすることが多いようです。流し食べをすると噛む回数が少なくなってしまいます。また、流しこむことで消化不良を起こします。噛む力のない子供や、食事のペースが遅い子どもを「さっさと食べなさい」とせかすことは「流し食べ」をうながしてしまいますので注意しましょう。
(5)食材の選び方・調理方法
お母さんに「よく噛む食事をしましょう」と言うと、「するめなどの硬いものを食べさせるとよいでしょうか?」と必ず聞かれます。硬いものだけを食べることが良いのではありません。硬いものを食べ慣れていない子どもは、逆に噛まないで丸呑みしてしまう危険があります。硬い物を噛ませるというのではなく「噛みごたえのあるものをよく噛んで食べる、ゆったりと時間をかけて食事をする」ということを実践しましょう。ひとくち食べ物を口に入れたら、30回から50回噛むのが理想的。噛む回数を増やすようにすることが大切です。好き嫌いなくバランスよく食べることも忘れずに。
このように、強く、しっかりしたあごをつくるために、日常生活に注意する必要があります。離乳食の頃から歯の発育にあわせた、よく噛んで味わうことのできるメニューを考え、また、加熱時間を加減して適度な歯ごたえを残すようにします。さらに、しっかり噛むことができる丈夫な歯をつくるために、カルシウムやたんぱく質を充分にとることを心がけましょう。