Q&A

顎の成長をうながす、よく噛む習慣をつけるにはどのような食事が良いですか?


 

098923-300x202現代人のあごは昔の人に比べ、小さくほっそりしています。その影響で、最近の子供たちは小さい顎が原因で永久歯が並びきらず、歯並びが悪くなったり、咬合異常(噛み合わせが安定しないこと)になりがちです。それを防ぐには、顎の成長を促すことが大切ですが、具体的に、どうしたらいいのか悩まれている保護者の方もおられるのではないでしょうか。顎を成長させるにはしっかり噛んで食事をする必要があります。みなさんしっかり噛むというとどんな食材を思い浮かべますか?するめイカが良いと思いますか?よく噛むというと「硬いもの」ばかり考えがちですが、そんなことはありません。「噛みごたえ」「噛む回数をふやす」ようにしてしっかり噛む工夫が大切なのです。それは、身近にある食材から考えながら選ぶ、あるいは調理法をほんの少し変えるだけで、噛む回数が自然に増え、無理なく噛めるようになるのです。

子供の頃から、よく噛んで食べる習慣を身につけることが大切です。幼児期から学童期にかけては、そしゃく機能を育てる大切な時期ですので、ご家庭においても取り組みが必要です。

 

<噛む回数を増やすアイデア>
◆ 調理法で変わる「噛みごたえ」◆

1: 「硬いもの」でなく「歯ごたえのあるもの」積極的に取り入れる。
よく噛む素材といえば、硬いもの、繊維質のもの、弾力のあるものです。そういった噛みごたえのある食材を使うようにしましょう。食物繊維が豊富な野菜や海藻、きのこ、肉なら挽肉より薄切りやブロックです。

 

2: 食材は大ぶりに切る
無理せず自然に噛む回数を増やすためには、切り方を工夫しましょう。食材を小さく刻まず大きめに切ったり、形を不揃いにすると、自然に噛む回数が増えます。逆に細かくすると噛まずに飲み込みやすくなります。咀しゃく筋の活動量は、食材の大きさが1/2になると12%、1/8になると40%減少します。カレーの具やサラダの野菜も、あえて大きく切るなど「手抜き」をしましょう!

 

3: 素材を組み合わせる。
1つの料理の材料を単品で調理するよりも、数種類組み合わせて使った方がよく噛む料理になります。複数の食感の違う素材を組み合わせると、口当たりや味の違いを脳が感じ取ろうとして、自然に噛む回数が増えて唾液が多く分泌されます。たとえば煮物ならば、根菜類、肉類、いも類など数種類の素材を組み合わせて作ったほうが、単品の煮ものよりも噛みごたえ度が増します。

 

4: 加熱の加減を調節
噛みごたえは加熱でも変わります。加熱すると、肉や魚などのたんぱく質の食品は、一般に身がしまって「噛みごたえ」が増します。一方、野菜は、加熱するとやわらかくなって、噛みごたえ度は低くなります。また、じっくり煮込むほど材料はやわらかく、噛む必要がなくなります。歯ごたえが残るように加熱の加減を調節しましょう。お魚ひとつ挙げてみても調理の方法でよく噛むことができます。油を使ったフライやムニエルはどうしてもやわらかくよく噛むことを意識しないうちに飲み込んでしまうでしょう。でも焼き魚にすると同じお魚でもしっかり噛んで唾液と混じり合わせてからでないと飲み込むことが難しいと思います。

 

5: 水分の少ない調理法
食品は水分が少ないほうが固くて「噛みごたえ」があります。また、口に入れた食べ物の水分が少なければ、のみ込みやすくするためによく噛んで、唾液をたくさん分泌するようになります。ですから料理に、揚げたり、焼いたりすると加熱によって水分が減りますので、「噛みごたえ」を増すことができます。(たとえば、同じ「えび」をつかった料理でも、「えびフライ」と、「エビチリソース炒め」では、30% 近く、「噛みごたえ」が違います。)

 

6: 味付けは薄味にする。
「味」は、食べもののうまみが唾液に充分に溶けこんで、それが口の中に広がることで感じられるのです。そのために、甘みや塩分の強いものは、口の中に入れた瞬間に味を感じるので、噛む回数が少なくなってしまいます。薄味にすると、素材の持ち味をよく味わって確かめようとする為に、自然と噛む回数が増え、唾液がたっぷり分泌されます。

 

7: 一品メニューより定食
どんぶりものや麺類などの一品メニューは、かき込んで一気に食べてしまいがち。外食するときも一品メニューよりは定食を選び、噛み応えの違う複数の料理を味わいながら、よく噛んで食べるようにしましょう。

 

8: 食事の時に飲み物を用意しない 水やお茶は食後に
食事中に水分を多く利用すると、流し込みながら食物を摂取することになり、しっかり噛まなくなってしまいます。よく噛まないので唾液の量が少なくなり、しかも胃液も水分で薄まり消化にも影響します。また、食事の所要時間は流し込むため早く、しかも食品を多く摂取することになってしまいます。汁物以外の水分は、食後にとるようにしましょう。

 

軟らかいものばかり食べていると、口のまわりの筋肉をあまり使わず、口やその周囲の機能が育ちません。噛む能力は生まれつき備わっているわけではなく、訓練によって身に付くものです。ほんの少し心がけるだけで、噛む回数はいくらでも増やすことができます。身近にある食材から考えながら選ぶ、あるいは調理法をほんの少し変えるだけで、噛む回数が自然に増え、無理なく噛めるようになります。
噛むことを増やす工夫はたくさんありますが、全部実践するのはむずかしくても、毎日の食事に少しずつ取り入れて顎の成長をうながすようにしてあげましょう。



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