生まれた赤ちゃんの歯茎に上皮真珠があると言われました。
乳歯が生える前の赤ちゃんの歯肉に、白色ないし黄白色の光沢をもった半球状の硬い、粟粒大から小真珠大の 大小の腫瘤としてみられます。真珠に似ていることから、上皮真珠(epithelial pearls)と呼ばれています。粘膜表面の近くに存在し、歯肉の表面からやや突出しているものが多いです。単独に存在するものもありますが 通常は数多く発生するものが多く、そのために歯肉の表面が著しく凹凸不整の状態に なっているものが多くみられます。
<どんな病気?>
生後間もない赤ちゃんの口の中にはまだ歯は出てきていませんが、すでにあごの中には乳歯が作られています。その乳歯が作られたときに残った組織の一部が吸収されずに残り、変化して出てきたものです。(歯槽提と歯胚を結ぶ「歯堤(してい)」という組織の退化不全によって生じます。)
硬口蓋(上顎)の正中部に現れるものは、エプスタイン真珠とよばれています。これは、成長時の左右の口蓋の癒合時の組織が吸収されずに残り、変化して出てきたものです。
<発生頻度>
胎生期には100%に、新生児には80~85%にみられるといわれていますが、実際には異常に気づいて来院される方はわずかです。上顎の前のほうや、下の奥歯の生えてくるところなど、分かりやすいところに出てきたものや、大きいものは、気づきやすいと思います。口蓋の正中部に認められたものや、小さいもの、個数の少ないものは、気きにくいようです。
< 性 差 >
ほとんどありません。
<好発部位>
特に上顎前歯部の歯槽頂から唇側にわたり、広範囲に集中的に出現する傾向があります。臼歯部では散発的にみられ、口蓋部にもみられることもあります。
<鑑別診断>
特に鑑別を要するものはありません・・・が、歯そのものが生えてきてる場合があります。これは先天性歯といって 授乳の時にお母さんが痛かったり、舌に当たって赤ちゃんのほうが痛がって、おっぱいを飲むのを嫌がったりしてしまう場合もあります。こういった場合には小児歯科につれていってあげてください。
< 治 療 >
上皮真珠はミルクが飲めないとか、痛みがある等の自覚症状がないのが普通です。また数週間から数か月で(乳歯が萌出するころまでには) 自然に脱落しますので、治療も必要ありません。また、その後の歯の生え方にも影響はないので心配は要りません。無理に取ろうとすると、歯茎を傷つけてしまうことがあるのでやめましょう。そこから細菌が入って、炎症を起こすことがあります。ポロリと自然に取れる場合がありますが、小さく、害のないものなので、万が一飲み込んでも問題はありません。取れた後は、傷もなくきれいな状態に戻ります。