乳歯の前歯の裏側の出っ張りを「切歯結節」といわれました。
◆切歯結節はどんなもの?
上顎の前歯の裏側の歯茎に近いところに少し膨らんだ部分があるのですが、それが異常に発達し、円錐(えんすい)状の突起となっているものです。生えはじめの時には、別々の2本の歯に見えることもあります。切歯結節は 歯ができるときにたまたま生じた形態異常で、癒合歯などより珍しいものです。
乳歯にこの切歯結節が存在していても、将来この歯からはえかわる永久歯に同じような結節がある可能性は極めて低いと思って良いでしょう。基本的に心配のいらないもので、歯の形のバリエーションであるくらいに考えると気が楽かもしれません。
◆切歯結節の処置は?
切歯結節はすり減って少し短くなり、先のとがった所が平らになってゆきます。中心結節と同じように、角(つの)のようになった切歯結節の部分の内部に神経(歯髄)が入り込んでいることがあります。徐々にすり減ってゆくことには問題がおきることはあまりないため、通常は、切歯結節が存在していても歯そのものへの処置は通常必要ありません。
切歯結節が大きい場合には噛み合わせて強い力がかかった時に折れてしまうと、露髄(神経が露出)して痛みが出たり、神経が細菌によって感染する可能性があります。折れる危険が高いときは、尖った結節を少しずつ削ったり、破折しない様に補強したりします。
なにもせず、経過観察する場合は、気づかないうちに折れて影響がでることもある為、毎日の仕上げ磨きの時に観察していただくとともに、定期的に歯科医院でもチェック、観察していただくのがよいでしょう。
6歳女児 切歯結節が折れて神経が死んでしまいました
下の前歯とこの結節部分がかみあう状態だと、結節が邪魔をして下の歯に押され、結節を持った歯だけが唇側に飛び出し、歯並びに影響することもあります。歯ならびの問題が切歯結節だけであれば、乳歯のうちに歯ならびへの処置をおこなう必要もありません。
切歯結節の存在する歯が少し前に出ていましたが、永久歯列では修正されました
また結節の形によっては、この付近がむし歯になりやすいなど、注意が必要です。基本的に心配のいらないものではありますが、定期的にかかりつけの歯科医でチェックしてもらい、お子さんの様子や歯の生え方を見ながら対処法を相談してゆくことをおすすめします。
◆切歯結節の存在する症例
【 症例 403 】 男児:乳歯に切歯結節 歯並びに影響(観察)