生後10ヶ月の赤ちゃんが、反対咬合みたいなんです。
お子さんの受け口についてのご相談ですが、生後10ヵ月という年齢では、治療の必要性がありません。どういうことかと言いますと、まだまだこれからの歯やあごの発育で、噛み合わせは変化します。また、本当に受け口の咬み合わせかどうかの判断がつかないのです。あまり早くから心配なさらないでください。
◆乳歯の噛み合せの確立
赤ちゃんの乳歯の生え始めは前歯からです。上下の前歯だけしか生えてない8~10ヵ月頃には、まだ奥歯が無く かみ合わせが決定してないので、前歯を噛み合わせようと、よく下あごを突き出す「受け口」のような噛み方が見られやすいものなのです。奥歯が生えてくるまでは、反対咬合と決め付けることはできません。
1歳を過ぎて最初の奥歯(第一乳臼歯)が生えてくると、上下の奥歯で噛むことによって、上あごと下あごの噛み合わせができてきますが、まだ安定したものではありません。奥歯を使って食べ物を噛むことを覚えながら、噛み合わせも少しずつ安定してきますが、上下のあごがしっかり噛み合うのは、2歳過ぎていちばん奥の第二乳臼歯(前から5番目)が生えた後、上下が噛み合う2歳半~3歳頃になってからです。
3歳頃には乳歯での噛み合わせも完成するので、噛み合わせの診断が可能になります。1歳代で反対咬合の傾向のあった子どもが、第二乳臼歯が生えたら治っていた、という場合も少なくありません。もし、その時点で受け口の傾向があるようでしたら、詳しい検査の必要があります。一度、歯科で相談してみるといいでしょう。3歳児健診まで待っても遅くはありません。
ちなみに、反対咬合(下あごの前突)は遺伝的要素が大きいものなので、家族暦(親御さんや祖父母に受け口の方がいる)がある場合は、骨格的な問題がお子さんに受け継がれる可能性もありますので要注意です。
◆反対咬合の治療
乳歯の反対咬合は、あごの発育次第では永久歯に生えかわるときに自然に治ることもありますが、下の前歯の噛みこみが強くて上あごの前方への成長が抑制されそうな場合は、乳歯のうちに噛み合わせを治して(矯正治療して)おいたほうが良いこともあります。
通常、小児期の咬合治療、矯正治療の開始時期は、早くても3歳からです。3歳半~4才になれば、症状に合ったいろいろな治療法の提案ができます。前歯が永久歯になっても反対咬合の場合には、治療を始める必要があります。そのままにしておくと、咬む機能に問題があるばかりでなく、成長が進んでしまうと骨格的な影響が大きくなってしまう可能性が増えるからです。
あごの成長の様子や子どもの治療への適応(協力度)などを見ながら、歯科医と相談して、永久歯の生え代わりまでに様子を見るか、積極的に噛み合わせを治すかを決めるといいでしょう。