妊娠中に歯に麻酔注射をして、お腹の赤ちゃんに影響しませんか?
お子さんを計画している場合は、できることならムシ歯や歯周病治療は妊娠前に済ませておきたいものです。妊娠中に歯が痛くなったり 腫れてしまいむし歯治療で麻酔が必要になったときに、おなかの赤ちゃんに影響は無いのか、お母さんにとって心配なことでしょう。
通常の歯科治療で行なう麻酔は、「局所麻酔」です。局所麻酔は、治療する歯の周辺にしか麻酔薬が作用ない麻酔方法です。しかも 局所麻酔で使用する麻酔薬の量も少量です。
歯科で使用する麻酔薬は、主に二つの成分からなっています。リドカインという麻酔の効果を生じる成分と、エピネフリンという麻酔の効力を増強させる成分です。
リドカインは、胎児に対する影響は少ないといわれています。一方、エピネフリン(別名アドレナリン)は血管収縮作用があるため、胎盤の血流量が減少により胎児に悪影響を及ぼす可能性があります。しかし、歯科で用いる麻酔薬のエピネフリンは、低濃度であり、通常の歯科治療で使用する麻酔の量で 胎盤の血流量に影響することは無いため、心配は無いと言われています。
このエピネフリンは、痛みによっても体内から自然分泌されます。その際の分泌量は、通常使用する麻酔薬に含まれるエピネフリンの10倍ともいわれています。このことから、麻酔をしないで痛みに耐えて治療を受けるより、麻酔をしてリラックスして治療を受けるほうがむしろ安全だとも言えます。
ただ、特に妊娠初期と呼ばれる妊娠週数12週未満の場合は注意が必要です。妊娠初期は器官形成期といって脳や心臓、胃腸や神経、手足といった重要な器官が作られる時期です。薬や放射線、その他アルコールやたばこなどの影響を及ばすことがあり、リスクが高いことで知られています。また、妊娠8ヶ月以降は早産の可能性もあるので、緊急な治療でなければ、この時期は避けるのがよいでしょう。いずれにしても、担当の歯科医ともよく相談して治療をおこないましょう。