歯髄炎(しずいえん)について教えてください。
【歯髄炎(しずいえん) :Pulpitis・Pul(プル)】
歯の中のいわゆる「歯の神経」と呼ばれる部分を、 歯髄(しずい)と 呼びます。歯髄炎(しずいえん)とは、生活歯(歯髄が生きている歯)に起こる病変です。歯髄に何らかの刺激が加わることによって発生する炎症のことをいいます。歯髄炎は歯の状態によってさまざまな症状があらわれます。
◆歯髄炎の原因
歯髄炎の原因は虫歯による細菌感染が ほとんどです。虫歯が深く象牙質にまで達して細菌が象牙細管を通り歯髄に感染することで化膿する病気のことです。歯槽膿漏が原因で起きることがあります。
その他に、歯の破折、脱臼、外力、歯科治療時の切創などの外傷が原因となることもあります。
◆歯髄炎の症状
歯髄の状態によって、歯髄充血、急性歯髄炎、慢性歯髄炎、歯髄壊死・壊疽に 分かれます。
歯髄炎の症状は軽い場合は冷水がしみる程度、食べ物が歯間にはさまると 痛みますが、急性の歯髄炎の場合は激しい痛みで耐えがたいほどです。歯髄炎の炎症がさらに進むと熱いものに敏感になり歯が浮いてきます。そしてそれ以上に症状が進行すると やがては歯髄が死ぬことで腐敗による口臭が発生します。
人体のほかの場所の炎症は、原因を取り除けば大抵治りますが、歯髄の炎症は一度悪化してしまうと、治りにくいのが特徴です。それは、歯髄は硬い象牙質(ぞうげしつ)に囲まれているので、少しの炎症でも歯髄が腫れる(うっ血する)と内圧が高まり、神経を圧迫することで痛みを感じやすいのです。そして、いったん強い炎症になると、その圧力がさらに炎症を強めるという相乗効果により悪化しやすいのです。
◆ 歯髄炎の治療
痛みが比較的軽くて持続性ではない場合は歯髄充血の可能性もあるので、その場合は感染した象牙質だけを取り除き虫歯の穴に仮のセメントを詰めて経過観察し、痛みがない場合は歯髄を残します。(覆髄:ふくずい)
歯髄炎の症状が進行し炎症が強くなった場合は、歯髄を根管から抜き取る治療(抜髄:ばつずい)が行われるのが一般的です。歯や詰め物などを削り、歯髄を抜き取ったあとに根管を徹底的に清掃し、洗浄、消毒を行います。根管治療によって痛みや炎症などが治まったら、根管に薬剤を詰めて被せ物や詰め物を入れることができ、再び歯の機能を取り戻すことができます。