感染根管とはどのような状態でしょうか。
◆ 感染根管とは
むし歯の痛みをそのままに放っておくと、むし歯は歯髄まで進んで歯の神経は死んでしまいます。場合によっては痛みを伴うことなく自然に死んでしまい、気づかないこともあります。細菌が繁殖すると、死んだ神経が化膿して 根の先のまわりの骨を溶かして膿が溜まってしまいます。
これを根尖性歯周炎(こんせんせいししゅうえん)と呼び、痛みや腫れを伴うこともあります。悪化すると歯根嚢胞(根の先端にできる膿の袋)ができたり、婁孔(歯茎にできもののように見える 膿の出口)ができたりします。
41歳男性右上前歯が時々腫れます。
Xray写真上で右上前歯の根の先が黒く透けています。
膿が溜まっていることが考えられます。
この根管内が化膿した状態(感染状態)を 専門用語では、『感染根管』といいます。そして、それらの症状を改善するために 感染根管の中の汚染物質を完全除去・清掃 消毒する治療のことを、『感染根管治療』(かんせんこんかんちりょう)と呼んでいます。
根管治療の途中で、痛みがなくなったからといって治療を中断してしまったりすると、根の中に仮詰めしてあった薬の効果がなくなり、感染根管の状態が悪化してしまうことは診療の中でよく遭遇します。また、すでに神経の治療が済んでいても、「感染根管治療の困難さ」から根管内(歯の根の中)に細菌が増えたりすると、再び炎症が生じ、膿が溜まってしまい 再治療が必要になることもあります。
◆感染根管の症状
【 急性期 】
・痛み止めを飲んでも効かないような激痛が出る。
・強い痛みの後、しばらくしたら根の先端周囲の歯肉が腫れてくる。
・上歯であれば目の下まで腫れたり、口が開きにくくなったりする。
・下歯であれば顎や首のあたりまで腫れたり、喉まで腫れて唾を飲み込むと痛くなったりする。
・微熱があり体がだるい。
【 慢性期 】
・普段は痛みがないが、疲労時や体調不良のときに、根がうずいたり 鈍痛が起こったりする。
・歯肉が腫れたり、潰れたりを繰り返している。
・根の先端相当部の歯茎を押すと違和感がある。
・物を咬むと歯に違和感がある。
・歯肉にできもののように見える 膿の出口がある。