歯周組織の検査結果の見方を教えてください。
歯周病の進行具合を調べるには数多くの検査をして、その検査結果から診断します。
歯周病を克服する為に、まずご自身の状態を知ることはとても大切なことです。
歯周病の検査結果は複雑で分かりにくい為、当歯科医院で使用している検査結果表を例にご説明いたします。
① この数字は歯の番号です。上の段が上顎で、下の段が下顎です。
1番は前歯で番号が増えるほど奥歯になります。
7番は一番奥で8番は「親知らず」です。例えば数字の上段の右側の7は、右上の一番奥歯になります。
当院の検査結果表は患者さまがイメージしやすいように患者さまの左右と検査表の左右を合わせていますが、通常は左右が逆に表示されている検査表が多い為、確認が必要です。
② 歯の動揺度(グラグラ度)をあらわします。
ピンセットで歯のグラグラ度を調べます。歯周病は歯を支えている周りの骨がだんだん溶けてくる病気ですので、歯を支える骨が溶けてくるほど歯の動揺(揺れ)が大きくなります。
<0度 ぐらつきなし 正常範囲> 記入無
<1度 :前後にわずかに動く> 1本の⇔
<2度 :前後左右に動く> 2本の⇔
<3度 :前後左右上下に動く> 3本の⇔
動揺度3であった場合、抜歯となる可能性が高くなります。動揺度2以上であれば、重度歯周病です。噛み合せのバランスを整え、歯肉の炎症を改善させることによってある程度動揺度を改善させることができます。動揺を抑える為に、両隣の歯と連結固定をして歯周病を安定させる治療が必要な場合もあります。
③ 汚れている歯面をあわしています(精密検査の検査項目)
歯周病の原因であるプラークが、歯磨きでしっかりとれているかどうかをチェックします。歯についている汚れのうち、歯と歯茎の境目の汚れを メージしやすいように頬側(おもて)と内側の歯列の図に、赤く塗りつぶして表示してあります。一つの歯に対して頬側を手前の歯間、中央、後側の歯間の3面、内側を手前の歯間、中央、後側の歯間の3面に分けて汚れを記録しています。プラークは白い汚れで歯と同じ色で判別がむつかしい為、プラーク染出し液で染出しをして調べたりもします。汚れ具合を記録して歯磨き技術の向上に努めます
プラークが染め出された歯面数÷検査歯面数×100でプラークスコアを算出します。
プラークスコアは一般的に20%以下であれば、よく磨けていると判断されます。
歯磨きの目標はプラークスコア(汚れ具合)が20%以下まで歯磨き技術を向上しましょう
④ 歯周ポケットの深さをミリ単位であらわします。
歯のまわりの歯と歯肉の間の溝の深さを、歯周プローブという目盛りの付いている探針を使用して測ります。歯周病が進行すると歯周ポケットが深くなりますから、数字が大きいほど歯周ポケットが深いことになります。
歯周精密検査では一つの歯に対して頬側3ヶ所、内側3ヶ所の合計6ヶ所のポケットを計測し、深さを記録します。スクリーニング的におこなう歯周基本検査は一つの歯に対して内側3ヶ所のポケットを計測し、深さを記録します。
<健康な歯肉の溝>3ミリ以下であればほぼ安定した状態です
<歯肉炎・歯周炎の歯周ポケット>悪化するに従い歯周ポケットが深くなります
上顎頬側(おもて側)・上顎口蓋側(うら側)・下顎舌側(うら側)・下顎頬側(表側)を記録して、イメージしやすいように歯列に重ねてグラフ表示してあります。分かりやすいように健康な歯肉の目安の3ミリのラインが太い点線で示してあります。目標は点線より浅くなるように、治療、予防をしております。
検査時の歯周ポケットからの出血を調べます
ポケットの深さをはかるときに、同時に出血するか・ポケットから排膿(膿が出ているか)どうかを調べます。「ポケット測定時の歯肉出血・排膿」は、現在歯周病が進行している最中なのか過去のある時期に進行したのかを表す最もよい指標です。つまり、歯周ポケットの深さがたとえ深くても、出血が少なければ歯周病は比較的安定しているといえます。
<出血する(歯肉に炎症が起きている)> ポケットの深さが赤い数字
<ポケットが膿が出ている(化膿している)> ポケットの深さが黄色の背景
<ポケット内に歯石がついている> 黒点
出血がある部位は歯周病原因の細菌感染による炎症があります。治療の目的は歯周ポケット内の根の表面についた歯石がきれいに掃除されて、出血、排膿のない安定した状態に治療、予防をしております。メンテナンスにおいて、出血部位が10%以下の場合、歯周病悪化のリスクがひくく定期健診の間隔をあけることができます。
歯周病は自覚症状がないまま少しずつ、そして確実に進行して悪化してゆく病気です。ご自身の検査結果をよく理解して、歯周病の発症、悪化を防いで予防を心がけるようにしましょう。