歯髄炎の症状について教えてください。
◆◆◆ 歯髄炎の症状の経過 ◆◆◆
歯髄炎の症状は、お口の状態によってさまざまな症状が現れます。
炎症の軽いものでは、冷水に接したり空気を吸い込んだときなどに痛みますが、これはふつう 一時的な症状で、すぐにおさまります。しかし、進行したものでは、ズキズキした耐えがたい痛み(拍動性)が、いつまでも続くようになります。痛み出す前にしみる場合もありますが、無症状から、急に疼きだす場合もあります。ひどくなると顎全体が痛み、頭痛などの関連痛を伴う場合があります。全身症状(発熱や体のだるさなど)を伴うことは、まれです。
冷水に敏感に反応しそのあとしばらく痛みが続いているとき、温かいものがしみて冷たいもので痛みが和らぐとき、就寝時に痛むときなども、進行している可能性が高く歯科医の治療を受ける必要があります。
また慢性になると、歯の穴に食べ物が入ったときに痛み自然におさまるといったようなくり返し症状があり、がまんをくり返しているうちに、歯髄が死んで歯根嚢胞(顎の骨に膿がたまる病気)や顎骨骨髄炎(顎の骨に炎症が波及した病気)などが起こることもあり、その後の治療が難しくなって抜歯せざるをえなくなったり、治療に時間を要したりすることが考えられます。ばい菌が血液に進入し全身症状を起こすこともあります。歯は自然に治癒しません。症状がある場合は、速やかに受診し、適切な処置を受けることが必要です。
◆◆◆ 歯髄の状態と症状 ◆◆◆
◆歯髄充血
もっとも症状の軽い歯髄炎。歯髄血管の充血によって、外来刺激に対して過敏になっている状態。自発痛(自然に痛み)はないが、飲食物などの刺激(冷、熱、甘)で一過性の誘発痛(一時的に不快感、軽い痛みがわずかなあいだ起こる)がある程度です。
◆急性単純性歯髄炎
歯髄充血が少し悪化して 歯髄に軽い炎症が起こっている状態。自発痛(自然に痛み)がおこり、それが続いたり途切れたりします。また飲食物の刺激があると痛みが強まる。歯をたたいても痛みを感じます。初期に適切な処置が行われれば回復が可能です。
◆急性化膿性歯髄炎
歯髄に細菌感染が起こり化膿して炎症も激しくなり、この状態になると抜髄(神経を抜く)することが必要になります。もっとも症状の激しい歯髄炎で、とくに温かい物を含んだり、風呂や布団に入ってから痛みが増すのが特徴である。患部を冷やすことで一時的に痛みがやわらぎます。さらに悪化すると、ズキンズキンと脈を打つような激しい痛みに強まります。顔全体が痛むように感じる。食事や睡眠もできなくなり、ひどくなると鎮痛剤もほとんどきかなくなります。
◆慢性潰瘍性歯髄炎
慢性歯髄炎は、細菌感染の程度が軽度な時や、歯髄の抵抗力が強いときにあらわれます。
歯髄腔に穴があいて口の中とつながり、内圧は低下し、痛みは消退してきます。露出した歯髄表層に潰瘍面を形成します。自発痛はほとんどありません。虫歯の穴へ食べカスが入ると 痛みます。誘発痛(冷たいものや温かいものなどの刺激)もほとんどありません。
◆慢性増殖性歯髄炎
若年者によく見られる歯髄炎です。歯髄腔にあいた穴から歯髄組織が虫歯の穴にイボのように盛り上がります。自発痛はほとんどありません。虫歯の穴へ食べカスが入ると 軽度の痛みが出る程度。誘発痛もありません。
◆歯髄壊死・歯髄壊疽
急性歯髄炎や慢性歯髄炎を放置すると痛みはなくなりますが、歯髄深部にまで感染が進んで、歯髄が全部死んで歯髄壊死に陥ります(歯髄が腐っている)。死んだ歯髄に嫌気性菌が感染し悪臭を発し、歯髄壊疽(しずいえそ)に進展し、歯髄腔の内圧が上昇して痛みを感じることもあります。