感染根管治療について教えてください。
◆感染根管治療とは
根管内に何らかの理由で感染が起こる(感染根管) と、根管内が化膿して場合によっては歯根の先の歯周組織に炎症がおきます。炎症が起きると硬いものを噛んだ時に痛んだり、歯が浮いた感じがしたりします。また、根の先端周囲の歯肉を押すと痛んだり、腫れたり、膿がでる、などの症状がでます。 原因が感染根管ですから、感染の原因である根管内の汚染物質、汚染歯質をきれいに掃除します。そしてその後にきれいになった根管が再度感染を起こさないように、根管内に薬をつめます。これらの治療を感染根管治療といいます。
◆感染根管治療の手順
急性症状がある場合は、応急措置をおこないます。むし歯を取り除き 歯髄腔を開放して膿を抜き、根管内の内圧を下げて痛みを抑えるようにします。また、歯を安静に保つ為に、上下の歯が噛み合わさることのないようにしておきます。これは、歯髄のなくなった歯は もろくて欠けやすいので、治療が終了してきちんとクラウンなどをかぶせるまで 歯が割れる事のないようにする目的もあります。急性症状が落ち着きましたら、まず、歯冠部を削って歯髄腔の中に治療器具を入れるための穴を開けて、歯の根の根管の入り口を露出させます。
「根管」はとても細い管であるうえに、治療する歯によって根管が曲がっていたり、内壁も不規則にでこぼこしていたりするため、きれいに掃除するのに手間がかかります。 しかも、「感染根管」は根管内の歯質にもばい菌が入り込んでいますのでこの汚れた歯質も一緒に削り取らなければなりません。
また、薬を内部に行き渡らせたり詰物をするために、根管を漏斗状(入り口が広くて奥が狭い形)に形を整える必要があるため 治療時間がかかります。そして根管の汚れは、根の先までしっかりと取り除く必要がありますので、電気抵抗値を利用して根の長さを測定する機械を使ったり、 レントゲン写真を利用する方法を用いて、歯の根の長さを正確に測定します。
治療は針金のような細いやすり(ファイルといいます)を使って少しずつ内壁を削って整えていきます。
ファイルには100ミクロンから1.2ミリくらいまでの太さのものが50ミクロン刻みで(太いものは100ミクロン刻み)そろっておりこれらを根管の形状に合わせて使いながら形成していきます。これを根管拡大といいます。
この根管拡大の途中で、何度か薬液も併用して、根管の中の汚れをきれいに洗浄、消毒します。
そして、根管形成が出来て、根管内部の清掃が終わったら、根管の中に消毒する薬を入れて仮詰めします。こうして膿がとまり歯の根の先の炎症が改善するまで、1週間おきに何度か通院して頂き根管内の洗浄・消毒の薬の交換を繰り返します。
根の先の炎症が治っていることが確認できれば、根の先まですき間なくぴっちりと専用のシーリング材(ガッタパーチャ)で根管を埋めてしまいます。これを根管充填(こんかんじゅうてん)といいます。
根管治療が終了すれば、根管に芯(ポスト)をたてて土台を作り、この上にクラウンなどのかぶせ物を装着します。
根管治療はこの根管充填を行ない、かぶせ物をするまできっちりと完了させておかねばなりません。 途中で中断したまま長期間放置しておくと、根管内にまたばい菌が増え、再び根尖病巣が大きくなってきます。