◆◆◆ 象牙質 ◆◆◆
『象牙質』(ぞうげしつ、dentin)は、歯の大部分を構成している組織で、歯冠部は『エナメル質』、歯根部は『セメント質』に 覆われています。また、歯の中心部には 歯の神経である『歯髄』という大切な組織を 入れる歯髄腔が存在します。
◆ 象牙質の構造
象牙質の構成成分の69%は無機質であるハイドロキシアパタイト、18%はコラーゲンなどの有機質、および13%の水分からなっています。象牙質は エナメル質よりもやわらかい(モース硬度は5~6)ですが、骨と同じくらいの硬さをもった丈夫な組織です。弾力性富んでいるので、何か強い衝撃が歯に加わっても 表面にあるエナメル質が割れてしまうことを防ぐという柔軟性を持ちます。とても硬いエナメル質によって守られつつ、弾力性のある象牙質によって柔軟性を持ち、この2つの性質がうまく組み合わさっているので、どんな場合にも歯は丈夫なのです。
◆ 象牙質の色
その人の歯の色(歯の白さ)は、象牙質の色調のより決まります。それは半透明のエナメル質を通して、象牙質の色が透けて見えるからです。象牙質の色は、有機成分により、文字通りの「象牙色」をしています。目や肌と同じように個人差があり人によって様々な色をしています。歯の形成時期に一部の薬剤を服用した場合に、その影響で象牙質の有機成分が変色を起こすことがありますが、象牙質はエナメル質の奥にあるため、これらの変色は歯みがきでは改善されず、歯科医院によるホワイトニングなどが必要になります。
◆ 象牙質知覚過敏症
虫歯が無いのに 歯がしみることがあります。多くの場合 しみるのは歯の根元(歯と歯ぐきの境目)のあたりの『楔(くさび)状欠損』に 多く症状がみられます。これは『象牙質知覚過敏症』といわれるものです。これは歯の内部の 象牙質という層が露出してしまうために 起こります。
象牙質は『象牙細管』とよばれる とても細い管が集まっている層で、管の中は 組織液で満たされています。この管は 歯の中心部の歯髄(神経)につながっています。象牙細管を通して 栄養素を送るだけでなく、刺激も伝えるので、象牙質に刺激が加われば、象牙細管 ⇒ 歯髄神経へ 刺激が伝わり、歯が「しみる」という痛み(知覚過敏の症状)が出るのです。
そのため 知覚過敏の治療の基本は、歯磨き方法の再確認、薬・コーティング材などで象牙質をカバーして 外部からの刺激を遮断したり、象牙細管の穴をふさいで歯髄神経へ刺激が伝わらないようにするのです。
◆ 二次象牙質
象牙質知覚過敏症は 歯自身が自分を守ろうという防御機構が働き、二次象牙質という層を歯髄内に形成して 神経のまわりの壁が出来ると 自然にしみなくなる経過も多いです。それは、象牙細管の歯髄側(象牙質と歯髄の間)に 象牙芽細胞の突起があり、象牙質の形成と維持を しているからです。象牙質は 一度作られた象牙質には 修復や再生は起こりませんが、歯髄側では 僅かに再生能力があり、歯髄を 保護するように働いているのです。
症状が強い時や、痛みが長く続いている時、どうしても痛くて ブラッシングできないときは 歯医者さんに相談してください。適切な処置で 痛みを和らげる処置を施します。
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