歯髄(しずい)の中に 細菌が侵入したり、過度の刺激が伝わったりすると、 歯髄は炎症を起こします。歯髄炎といいます。歯髄炎になると、軽度な場合は刺激に対して敏感になり、 重症になると、刺激がなくともズキズキ痛むようになります。さらに進行すると、歯髄は壊死して何も感じなくなります。 ときには「ズキズキ期」を経ずに 歯髄壊死を起こすこともあります。
軽い歯髄炎の場合は、詰め物をして 歯髄への刺激を無くせば、おさまります。ところが歯髄炎の程度がある一線を越えると、元には戻すことが難しくなります。 この状態を「不可逆性歯髄炎」といいます。 不可逆性歯髄炎と診断されると、歯髄そのものを取り除く処置を行います。 「歯髄」を「抜く」ので、「抜髄」といいます。
◇ 歯髄の症状は、治りにくい
人体のほかの場所の炎症は、原因を取り除けば たいてい治ってゆきますが、 歯髄の炎症は なぜ治りにくいのでしょうか? それは、歯髄が固い組織で 囲まれているために、いったん強い炎症がおこると 内圧が非常に高まり、その圧力が さらに炎症を強めるという 相乗効果により悪化しやすいからです。
◆◆◆ 歯髄炎の診断方法 ◆◆◆
症状についての問診や、視診はもちろん、冷たい物、熱い物の刺激による痛みチェック(温度診)、歯を叩いたときの痛みチェック(打診)、触診、歯の揺れ具合 のチェック(動揺度検査)、レントゲン撮影などの一般的な検査に加えて、温度診(冷たい物や熱いものを歯にあてる)、電気歯髄診断器という機器を使いて電気診(微量の電流を歯にあてて反応をみる)などを行い、歯髄がまだ生きているのか?すでに壊死しているのか?を調べ、どのような治療を行うかを決めています。
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ちなみに知覚過敏の場合、歯を叩いたときの痛みチェック(打診)では痛みはないことが多く、歯を叩いて痛みがある場合は歯髄炎の可能性が高くなります。
◆◆◆ 歯髄炎の治療 ◆◆◆
歯髄炎と診断された場合、比較的症状が軽い段階であれば治療の結果、完治する事も多少は期待できますが、症状が進行している場合は残念ながら「抜髄によって歯髄を抜き取る」しか方法がない場合が多いのが現実です。適切な治療方法については、診断によって異なりますので、詳しくは担当の歯科医師とご相談ください。
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下記は、主に行われる治療です。
◇ 歯髄の鎮痛消炎法-歯髄を残せると判断された場合に行われる治療-
歯髄炎の症状が軽い場合に行われるのが、薬を用いて歯髄の炎症を抑える治療です。虫歯がある場合はその部分を削り、薬剤をつめて歯髄に加わる刺激から保護し、仮の詰め物で歯を覆います(覆髄:ふくずい)。しかし残念ながらいくら症状が軽くても歯髄炎の場合、炎症が歯髄内に広がり症状がひどくなる可能性が非常に高いため、仮の詰め物で1~6ヶ月程度 様子をみて症状が落ち着いた場合は、被せ物や詰め物を入れて、再び歯の機能を取り戻すことができます。
◇ 抜髄:ばつずい(根管治療)-炎症が強くみられ、歯髄を残すことができない場合に行われる治療-
歯髄炎の症状が進行し 炎症が強くなった場合は、歯髄を根管から抜き取る治療が行われるのが一般的です。歯や詰め物などを削り、歯髄を抜き取ったあとに根管を徹底的に清掃し、洗浄、消毒を行います。根管治療によって痛みや炎症などが治まったら、根管に薬剤を詰めて被せ物や詰め物を入れることができ、再び歯の機能を取り戻すことができます。
◇ 抜歯-どの方法を用いても歯を残すことが難しい場合-
むし歯が大きく進行して治療が困難になってしまったり、歯が大きく割れてしまった場合、歯を助けることが難しくなります。抜いた歯を補う治療法としては、ブリッジ、入れ歯、インプラントがあります。
一言に「歯髄炎」といっても、症状が慢性的なものなのか?一時的なものなのか?などによっても治療法が異なる場合がありますので、当たり前の事ですが、「歯がしみる、痛む」場合は早めに歯科医の診察を受けましょう
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