一見 硬くて強そうに見える歯ですが、様々な要因で、歯が割れてしまうことがあります。歯が割れてしまうことを 「破折(はせつ)」と呼びます。口の中に見える白い部分(歯冠部)が割れたりかけたりすることを歯冠破折(しかんはせつ)と呼び、歯茎の中の根っこの部分(歯根)が 割れたり ヒビ割れたりすることを 歯根破折(しこんはせつ)と呼びます。
歯を失う原因の多くは、虫歯と歯周病といわれています。あまり知られていませんが、歯根破折が原因でやむなく歯を抜かなければならないという方も多くいらっしゃるのです。
歯根破折は、事故・転倒などで歯を強く打ったり(外傷)、石のような硬い物を誤って噛んでしまったり、強い力が瞬間的に加わり、起こります。その他、硬い食べ物を好んだり 歯軋りや噛み締めなどの癖で 強い力が誘発原因となり 気づかないうちに歯根破折(歯根のひび割れ)を起こすことも多くみられます。歯根破折は、ほとんどが 過去に歯髄を除去した歯(根管治療を受けた無髄歯)や、歯髄(歯の中にある神経や血管)にまで虫歯が達した歯に 多くみられます。しかし、ごくまれに健康な神経を取り除いていない 生きている歯でも、歯が割れてしまうことがたまに起こることがあります。
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次のような状態にあると歯の根がひび割れてしまうリスクが高くなります。
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◆ 歯は神経を失うと、弱く もろくなる
治療の必要から やむをえず 抜髄して(神経を取って)も、適切な被せ物や詰物をすれば、健康な歯と同じように咬むことができます。しかし、神経の無い状態の歯は、木に例えると枯れ木 のようなもので、生の木(健康な歯)と比べると 年月とともに 割れやすくなってしまうのです。
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◆ 神経を抜いた後、被せ物をしていないことで 歯が割れやすい
神経の無い状態の歯は、枯れ木と同じようにもろくなり始めます。通常の治療では、根の治療の後には、歯のもろさを補うために被せ物をしますが、被せ物をし ないで 治療が終了した場合、歯が割れる原因になることがあります。詰め物で治療が終了した場合、噛み合せの力によって、詰め物がくさびの作用をして、歯が割れる 原因になることがあります。
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◆ 金属の心棒(土台)は、強い力が加わると、歯の根を破壊してしまう
歯の神経を取った歯は、根の治療を終えたあとに心棒を立てて土台を作り、その上に人工の歯(冠)を被せる治療が行われています。しかし、この心棒に金属が 使われていると、硬い金属から柔らかい象牙質に 噛んだ力が 均等に分散して伝わらないため、特定の部分に力が集中してしまい、歯根破折の原因になることがあります。
また、被せ物をしてあっても、噛む力によって、心棒がくさびの作用をしてしまい、歯が割れる原因になる場合があります。
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◆ 噛み合わせの関係で、強い力が歯にかかることが原因で歯が割れる
ブリッジの土台や 部分入れ歯の支えや、前歯と奥歯の噛み合せのバランスが悪い場合など、特定の歯に噛み合せの力が集中して掛ることがあります。このような場合、神経が生きている歯でも、噛み合わせの力に耐え切れずに、割れてしまうことがあります。
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◆ 硬い食べ物を好む
よく噛んで食べることと、硬いい物を積極的に食べることを混同しないようにしましょう。硬い食べ物が歯によいのは成長期です。その時期を過ぎたら硬い食べ 物を強くかむことはかえって歯にとって脅威になります。フランスパンの外皮、キャンディや氷の噛み砕き、ナッツ類、イカ・スルメ・スジのある肉、干し柿や キャラメルなどのべたつきの多い食べ物 等は注意して召し上がってください。
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◆ 歯軋りや噛み締めの癖
日常生活の中で 上下の歯を噛みしめていないか、注意してみてください。歯の噛みしめや食いしばりは、歯や顎に非常に大きな負担をかけます。あちこちにしみる感じが出たり、ひび割れが進んで、時には歯が壊れてしまうことさえあります。・
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残念ながら歯根破折の治療の基本は抜歯です。歯の割れ方にもよりますが、状態がよければ残すことができる場合もあります。
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歯根破折がありながら 治療せずに放っておくと、破折したところが細菌感染を起こし、炎症が大きくなって顎の骨が溶けてしまい、その後の治療が困難になってしまいます。歯根破折をおこしても 無症状であったり、はっきりしない症状であったりしますが、歯根破折を疑う症状が現れた場合は、速やかに受診し、適切な処置を受けることが必要です。
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